4代目となる現行プリウスですが、2018年12月にエクステリアの変更をともなうマイナーチェンジを実施し後期型となりました。
個性的なスタイルばかりが話題になった現行の50系プリウスですが、中身は歴代プリウスの進化の集大成です。
大ヒットした3代目の30系プリウスから何が進化したかを、わかりやすくまとめています。
プリウス30系と50系 走行性能の違い
引用:https://toyota.jp/prius/
プラットフォーム
大ヒットした3代目プリウスですが、残念ながら走って楽しい車ではありませんでした。
乗り心地や走行性能を左右するタイヤの接地性能などの多くは、プラットフォームの性能に影響を受けます。
3代目プリウスに使用されたプラットフォームは、基本は初代プリウスと同じものでした。
もちろん改良は重ねられてきましたが、プラットフォームの制約はそのまま引き継がれています。
そこで50系プリウスでは、トヨタが掲げた新しい設計思想「TNGA」にもとづいて開発された新型プラットフォームを採用しています。
この新型プラットフォームは、共通化をすすめつつも走行性能を向上させるための様々な要素が盛り込まれています。
引用:https://global.toyota/jp/powertrain/tnga/
ボディ剛性の強度
30系プリウスではパネルの接合はスポット溶接が主流でしたが、50系プリウスでは様々な新技術が投入されボディの一体感の向上を図っています。
引用:https://toyota.jp/technology/chassis/
レーザースクリューウェルディング(LSW)の導入
従来のスポット溶接は接合するパネルの両側を押さえる必要がありましたが、LSWは片側から溶接が可能になり、スポット溶接よりも溶接個所やスポット数が激増しています。
これにより設計の制約も大幅に低減され、不要なホールを減らすことにも貢献しています。
構造用接着剤の使用
クロスメンバー(左右のサスペンションをつないで補強する部材)やリアフェンダー周りを中心に12mも塗布されています。
ホットスタンプ材の拡大採用
ホットスタンプ材とは鉄板をプレス加工する際に加熱処理して加工されたもので、普通の鉄板より4~5倍の強度となります。
50系プリウスでは約20%のパネルに、このホットスタンプ材が用いられ、強度が上がったことで板厚を薄くして軽量化にも貢献しています。
4WDモデルの設定
引用:https://toyota.jp/technology/chassis/
降雪地域にも対応すべくようやくプリウスにも4WD機構が用意されました。
後輪用にコンパクトなモーターやインバーターを採用しラゲッジルームへの影響を抑えています。
プリウス30系と50系 室内空間の違い
引用:https://toyota.jp/prius/
着座位置(ヒップポイント)
ヒップポイントが高いと揺れやすく、坐骨に荷重がかかって疲れやすいことから低重心化にともないヒップポイントが下げられました。
50系プリウスは30系プリウスに比べ全高で20mm、フロントシートのヒップポイントはなんと59mmも下げられています。
確かに30系プリウスから50系プリウスに乗り換えてみると、腰を下ろす度合いが増えたことを実感します。
乗降性の点ではマイナスかもしれませんが、トヨタは運転している時間の快適性を優先しました。
そしてボンネットを含むフロントノーズが下げられた結果、運転席からの視界が向上しています。
スポーツカーの86とノーズの高さが同じだとPRしています。
遮音対策
そもそもハイブリッド車であるプリウスは車内が静かであるはずです。
しかし30系プリウスは、お世辞にも静かでありませんでした。
同時期に発売されていたカローラより明らかに賑やかで、とてもオーディオにこだわろる気になれませんでした。
理由は車内のいたるところにある接合部の隙間や穴からの侵入してくるノイズです。
そこで50系プリウスでは、遮音材をフロア全体に覆うように貼り付けています。
また、ボディ接合部を埋めるシーラー(コーキングのようなもの)の塗布範囲を拡大し隙間を大幅に削減しています。
さらにフロントウィンドウは遮音対策ガラスなのは当たり前として、上級のAグレードにはフロントドアのウインドウにも遮音対策ガラスが用いられています。
ちなみに遮音ガラスは緊急用脱出ハンマーでは割れにくいので、緊急時はリアドアのガラスを割って脱出しなければなりません。
ラゲッジスペース
従来の30系プリウスでもステーションワゴンに負けない積載能力がありましたが、50系プリウスでは更に磨きをかけました。
ラゲッジ容量は446Lから502Lへ大幅に拡大し、標準的な車椅子(折りたたんだ状態)の積載を可能にしています。
引用:https://toyota.jp/prius/
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プリウス30系と50系 実燃費の向上
シリンダーヘッドを全面的に見直して世界最高レベルの最大熱効率40%のアトキンソンサイクルエンジンを搭載しガソリンエンジ単体での燃費を向上させています。
(世界の多くの車のガソリンエンジンはエネルギーの30%代です)
また、気温の低い時期に走行風によってエンジンが必要以上に冷やされなようにグリルシャッターが搭載されました。
引用:https://toyota.jp/prius/
これらの効果により平均実燃費が確実に向上しています。
50系プリウス・・・24~25km/L
30系プリウス・・・20~23km/L
プリウス30系と50系 安全性能の違い
2009年にデビューした30系プリウスはトヨタ初のLEDヘッドライト(一部グレードを除く)やミリ波レーダーによるプリクラッシュセーフティ機能やレーダークルーズコントロール(トップグレード)が搭載されました。
しかし先行して発売されていたスバルのアイサイトには遠く及ばず、自動ブレーキもクルーズコントロールも信頼性の点で今一歩の出来でした。
(30系プリウスに自動ブレーキがあったことを知らないユーザーもいるほどです)
引用:https://toyota.jp/prius/
50系プリウスではトヨタセーフティセンスPを搭載し、昼間の歩行者を検出することや全車速対応のアダプティブクルーズコントロールに対応しています。
他にもオートマチックハイビームや斜め後方から接近する車を検知するブラインドスポットモニターも追加されました。
これにより予防安全と運転の快適性が劇的に向上することとなりました。
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プリウス 10系(初代)と20系(2代目)を振り返る
参考までに初代と2代目プリウスも簡単に紹介しますね。
10系/11系(初代)
引用:http://www.toyota-catalog.jp/catalog/
「21世紀に間に合いました」というキャッチコピーで誕生した初代プリウスは今から21年前にデビューしました。
「燃費が2倍の車をつくる」という目標を掲げたG21プロジェクトから誕生しています。
当時は、まだ研究段階だったハイブリット車を採算度外視で開発に踏み切った当時のトヨタ経営陣の決断はさすがです。
こうして1997年に世界初の量産型ハイブリットカーとして発売されました。
当時の販売価格は215万円~227万円で、全くの新技術にもかかわらず破格の値段設定となっていました。
ニッケル水素バッテリーのコストが高く、売れるほど赤字につながるといわれていました。
画期的ともいえる遊星歯車を使ったモーターとエンジンの動力分割機構(THS)を採用しており、これが現在の最新ハイブリッド車でも採用されています。
モーター電圧は270Vでした。
この初代プリウスは5ナンバーセダンで、大人4人がしっかり座れる優れたパッケージングが高く評価されました。
後にハイブリット機構を持たない普通のガソリンエンジンを搭載したプリウスも存在していました。
最終的に12万台を販売しています。
引用:http://www.toyota-catalog.jp/catalog/
20系(2代目)
引用:http://www.toyota-catalog.jp/catalog/
2代目プリウスは初代をベースに大幅な性能アップを果たして2003年に登場しました。
2代目から現行モデルにも引き継がれているトライアングルシルエットが採用されています。
さらにハイブリッドシステムはTHS-Ⅱへ進化しています。
コンバーターを追加してモーター電圧を一気に500Vまで引き上げています。
モーターや補器類の小型軽量化も実現しました。
空気抵抗の低減や軽量化もあり燃費が、初代に比べて31km/Lから35.5km/Lと大幅に向上しています。
また初めてVSC(トラクションコントロール)やG-BOOK(情報サービス)に対応しています。
引用:http://www.toyota-catalog.jp/catalog/
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プリウス30系と50系 実燃費など比較してわかった進化の内容は? まとめ
引用:https://toyota.jp/prius/
30系プリウスは個人的にマイカーとして20万km以上を共にしてきましたが、故障もなく安定して23km/Lの燃費を維持してくれました。
普通の車に比べてハイブリッド機構をかかえて部品点数や重量で不利にもかかわらず、抜群の信頼性を持つ優れた車だと思います。
それに対して現行の50系プリウスは技術的には正常進化ということで確実に30系プリウスを凌いでいます。
しかし大多数の人たちには低重心の新型プラットフォームや熱効率40%は響かなかったようですね。
カタログ燃費は40km/Lの大台に達したとはいえ、みんなは燃費性能の更なる向上よりも「他の何か」を期待していたのでは?と思います。
また、それに加えてデザインを否定されたのはトヨタにとって大きな痛手だったことでしょう。
個人的にプリウスは常に自動車の先進技術を普及させる役割を担うべきだと考えているので、プリウスPHVを新型プリウスとして欲しかったところです。
おそらく、トヨタもそうしかったに違いありません。
しかしプラグインハイブリッド用のバッテリーはあまりにも高価で、これでは普及は難しく普通のハイブリッド車として出さざるを得なかったのだと勝手に想像しています。
ここまでプリウスは地道な進化を続けてきましたが、これから存在価値も含めて難しい選択を迫られそうですね。
キャッチ画像引用:https://toyota.jp/prius/
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